意外と身近な、相続と遺言書のお話

「相続争い」と聞くと、ドラマに出てくるような資産家の話を思い浮かべて、
「自分には関係ない」と思われる方も多いのではないでしょうか。
でも、実際にはそうとは限りません。
たとえば、お子さまのいないご夫婦。
また、再婚していて、前の配偶者との間にお子さんがいる方。
こうした場合、遺言書がないことで、残されたご家族が大変な思いをすることがあります。
また、「お世話になった方に財産を残したい」「自分が応援している団体に寄付したい」など、
ご自身なりの希望がある場合も、遺言書がなければ、その希望を実現できない可能性があります。
「揉めたわけではないけれど……」
最近、こんなお話を伺いました。
「昨年、父親が亡くなりました。大きな争いになったわけではないけれど、手続きの中で嫌な思いをしました。エンディングノートではなく、遺言書を残しておいてくれたらよかったのに、とすごく思いました。」
相続は、ご家族にとって大切な問題だからこそ、必ずしも「揉める・揉めない」だけではありません。
遺されたご家族が、できるだけ負担なく手続きを進められるようにしておくことも、遺言書の大切な役割の一つです。
遺言書は、元気なうちに
そして、遺言書を考えるうえで大切なのが、元気なうちに準備しておくことです。
遺言書というと、「高齢になってから書くもの」というイメージがあるかもしれません。
しかし、遺言書を作成するためには、内容を理解して判断する能力が必要です。
「まだ元気だから大丈夫」と先延ばしにしているうちに、思いがけず、遺言書を作ることが難しくなってしまうこともあります。
だからこそ、元気なうちに遺言書を準備しておく。
それは、残されるかもしれない大切な人への思いやりでもあり、ご自身の希望を実現するための準備でもあります。
遺言書には、メッセージも残せます
遺言書というと、「誰に、どの財産を渡すかを書くもの」と思われがちですが、それだけではありません。
遺言書には、付言事項として、ご家族などへのメッセージを残すこともできます。
たとえば、
「なぜこのような財産の分け方にしたのか」
「これまで支えてくれたことへの感謝」
「自分が亡くなったあとも、みんなで仲良く協力して暮らしてほしい」
といった、ご自身の思いを伝えることができます。
以前、こんなお話を伺いました。
お父様が遺言書の付言事項に、お母様と出会った頃のことなどを書かれていたそうです。
お子さまたちにとっては初めて聞く話も多く、その内容に心が温まり、お父様の思いを感じることができたそうです。
財産の分け方だけでは伝わりにくい「なぜこのようにしたのか」という思いを言葉にして残しておくことは、相続後のご家族の気持ちの行き違いを減らすことにもつながります。
遺言書は、単に財産を分けるための書類ではありません。
大切な人に、ご自身の思いを伝えるためのものでもあるのです。
これから不定期ではありますが、遺言書について、できるだけ分かりやすく、少しずつ記事を書いていきたいと思います。
「遺言書って、何から考えればいいの?」
「自分の場合は、遺言書を作ったほうがいいの?」
そんな方にも、参考にしていただける内容にしていければと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

